【HSP】仕事がつらい。職場で頑張りすぎてしんどくなる理由5つ/対策あり

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HSPはその特性上「早く早く!」とまくしたてられたり、多重課題の処理役には適さない。
1つの課題にじっくり向き合い、ある程度自分のペースでタスクをこなす働き方が適しているのだ。
だがそうは言っても、早く正確に次々と仕事をやっつけていく術を身に着けたい。
多忙を極める戦場のような職場で、お客さんや先輩・上司からの評価におびえながら優先順位に追われ、仕事をフルパワーでやりきったのに達成感がえられず、がっくりと肩を落としてタメ息をつきながら疲弊している繊細さんがいることを私は知っている。
「早さ」が全てではないと重々承知ではあるが、一方で手際の良さが仕事上の重要な評価項目の1つであることもまた事実である。
ではわたしたちHSPがいきいきと働くためにはどうしたらいいのか。
この問の答えは、HSPの特性を知り仕事で実践していくことにある。
今回は繊細な気質をもつ私たちが、仕事でしんどくなってしまう5つの理由と、のびのびと働くための技術5つを紹介する。
仕事は本来、自分を幸せにしてくれるもの。
自分に備わった特性を知り、自分なりのやりがいを見つけてのびのびと働く繊細さんが増えることを願っている。
みてね!

多重課題の嵐が毎日吹き荒れる救命センターの看護師12年目のぼくとしては、「1つひとつやっていこう」の考え方が最強です。
仕事でしんどくなる5つの理由

繊細さんが仕事でぐったり疲れてしまうその背景には、HSP特有のDOESという性質が影響している。
- D⋯深く処理する(深く考える) Depth
- O⋯過剰に刺激を受けやすい Overstimulation
- E⋯感情反応が強く、共感力が高い Emotional & Empathy
- S⋯些細なことにも気づく Sensing the Subtlety
この4つの性質があることを念頭に、わたしたちHSPが仕事でしんどくなる5つの理由について解説していく。
【理由①】情報量が多すぎる

仕事をしていると、意図せず自分の外側から色んな情報が飛び込んでくる。
人の話し声や電話の音。照明の光や、人や物が往来する景色。
視覚・聴覚・嗅覚などの五感が鋭く、周囲の些細な刺激にも敏感に反応するため脳が過剰に働き疲れやすい。
仕事の段取りを考えるときにも注意が必要だ。
複数の仕事を目の前にしたとき、わたしたちの頭の中ではどの仕事をどの順番ですすめていくべきか無限のシミュレーションがはじまる。
「朝の打ち合わせまでにこの情報をまとめておいて、それが終わったらこことあそこの機材のチェックは最低限終わらせておこう。そうだ、新人のフォロー体制は現状どうなってたかな?」
こんな感じで様々なことをイメージし、予測し、頭はいつもフル回転。
未来のことだけでなく、過去に起こった出来事に対しても「あのときのあの言い方はちょっとまずかったかな。こんなふうに言えばもっと伝わりやすくて優しい表現だったかな⋯」と考えをめぐらせ始めるともう収拾がつかなくなってくる。
このように仕事をするということはたくさんの情報にふれるということ。
100歩ゆずって情報にたくさんふれることはしかたないとしても、自分でコントロール可能な範囲を越えたところから不意に飛んでくる情報というのはかなりストレスになる。
例えば
かけうどん20個→鍋焼きうどん10個→カレーうどん30個→キムチうどん20個をこの順番どおりに1時間で作ってほしい!Cくんはこの仕事だけに専念してね!
と店長から頼まれたとする。
1時間で80個作るのはそれなりに大変だろうけど、自分で段取りを組めるしこの作業だけに専念できるので負荷の程度は重くはない。
だが、鍋焼きうどんの鍋に焼きをいれているあたりで、
ごめんCくん!丼物係のタケシがたったいま彼女にフラレて鍋を振れなくなったからとりあえず急ぎで親子丼10個作ってくれる?あと、天ぷら担当のユキさんとこの下の子が40度の高熱で出勤できないって。悪いけど、注文が入ったら天ぷら揚げてくれる?それからキムチうどんは1人前が1玉じゃなくて1.5玉で1人前に変更するから!もう決めたから!1人前が1玉っていう既成概念をブチ壊してーんだよ!
鍋に焼きをいれるってどういう作業?
バイト中に彼女と連絡とるな
1人前1玉でいいわ!ややこしい
とこのように不測の事態が同時多発的に起こると頭の中は大混乱。
一気に負荷がかかりだし、作業の難易度はハードモードに突入してしまうのである。
【理由②】共感力が高い

職場には、色んな人の感情が渦巻いている。
- 先輩に怒られてしょげている後輩
- 理由はわからないけどなんだかトゲトゲしい上司
- 体調が悪くて元気がない同僚
他人の気持ちや雰囲気を敏感に察知し、自分ごとのように捉えてしまうのは繊細さんのクセである。
そして自分の気持よりも相手を優先し、結果的に気疲れしやすいのだ。
- タケシ、初めて彼女ができたってあんなによろこんでたのに、つらいだろうな
- ユキさん、シングルマザーでいろいろ大変なのにほんと頑張ってるよな
- 店長、やっぱり1人前1玉でいいわ!ややこしい
もちろんすべての物事にあますことなく共感するかといえば、決してそうではないこともある
【理由③】責任感が強い

まじめで完璧主義な傾向があるため失敗を極端に恐れ、不安を感じやすい。
というか、私の主観としては1つひとつの作業に自分なりの考えやこだわりがあり、そのとおりに実践していかないと気がすまない。
「適当でいいや⋯」ができない性質なのである。
人手が足りないことに対して、いま文句を言ったってしかたない。状況が改善するわけじゃない。ぼくがやらないと店長が困る。待ってるお客さんの機嫌を損ねるわけにはいかない。ぼくがやらないと。
逃げちゃだめだ⋯
逃げちゃだめだ⋯
逃げちゃだめだ⋯
その状況の背景にある人たちの感情にまで思いをめぐらせ、まるっとすべてを背負いこんでしまう。
そしてその重みで心が疲弊してしまうのである。
【理由④】多重課題が苦手

複数の業務を並行してこなそうとしたり、急な変更があると混乱しやすい。
とにかく自分の作業量は自分でコントロールしたい繊細さん。
ひとことに多重課題といっても自分で設定した多重課題は多重課題感はないが、他者から依頼されたらもうそれは苦しい苦しい多重課題となる。
- 鍋焼きうどん作りかけちゃってるんだけど、作りきってしまってから親子丼にとりかかるか?でも急ぎでって言われてるしすぐ親子丼にとりかかるか?でもここままで鍋焼きうどんに費やした時間をムダにするとそのぶんタイムロスだしどうすっかなぁぁぁあ!?
- いま天ぷらのオーダー入ったらつむ。たのむ!みんな天ぷら頼まないで〜
- うちのうどんは1玉分ずつ冷凍されてる。これを0.5玉にどうやって分ければいいん?包丁でぶった切るか?それともいったん茹でてから⋯
- あぁ〜⋯
べつに多重課題をこなせないわけではない。
HSPではない人を仮に非繊細さんと呼ぶとして、多重課題をやっつけるときに10のダメージを非繊細さんが受けるなら、繊細さんは30のダメージに加えて「こんらん」のステータス異常をきたす。そんなイメージである。
【理由⑤】周囲の評価が気になる

自分がいかに苦しい状況にあろうとも、他者の心の声を気にしてしまう。
共感力の高さがなせる技なのだが、この「他人の心の声」の中に自分に対する悪い評価が含まれていないかということまで考えてしまう。
ていうかおればっかりに負担かかるのおかしくない?このまえのお盆休みの繁忙期だって、バイト出れる人少ないからって毎日昼夜でシフト入ったのおれやん!おれだって実家に帰省したかったし!
⋯でも、それを言ったところで店長と言い争いになるのしんどいし、気まずくなるのいやだし⋯
あと、本番にめっぽう弱い。
いつもは難なくできている作業でも、人に見られてることを過剰に意識してしまう。
- 「このやり方、実はまちがってるとかないよな?」
- 「ずっとだまって見てるけど、なに考えてるんやろ?」
- 「たのむからひとりにしてくれ〜」
プレッシャーに耐えられず自滅して、成功体験が得られずいつまでも自信がつかないという負のループにおちいる。
のびのび働く技術5つ

仕事で疲れやすい理由がわかれば、対応策も見えてくる。
繊細さんがのびのび働くために知っておいてほしい5つの技術がこちら
- 1つひとつやっていこう
- 気づいても対応しない
- 不機嫌な人は放っておく
- 「苦手」を克服するより「得意」を活かす
- 全部すてて逃げる
順番に解説していく。
【技①】1つひとつやっていこう

あれもこれもと仕事が山積みで、どれから手を付ければいいかわからなくて焦る。
そんなときの大切な考え方が「1つひとつやっていこう」である。
いきなり自分のところにいくつもの仕事がどっと押し寄せてくると誰だって浮足立って思考停止してしまう。
そんな思考停止状態の頭を切り替えて心を落ち着ける魔法の言葉がこの「1つひとつやっていこう」だ。
不思議なもので、全部同時進行じゃなくて1つひとつでいいんだと思えるだけで、狭くなっていた視野がパッと広がり、「よし、この作業からとりかかろう」と手を動かし始めることができる。
仮面ライダー1人が10人のショッカー戦闘員を倒したいんだけど、全員同時に相手するんじゃなくて、10人を1列に並ばせてタイマンを10回くりかえしやっつけるみたいなイメージだ。
ちなみにこの戦闘員の「イーッ!」という掛け声だが、撮影当時、掛け声がなかなか決まらず若手の俳優たちがいろいろ試しに叫んでいるうちに、嫌気がさしてきて「いいかげんにしろ」「もうなんでもいい」との思いで発した「イーッ!」が偶然ハマったのだとか。
常にタイマンに持ち込むこの考え方に私自身いつも救われている。
どんなにたくさんの仕事があっても、実際にやっていくときは誰だって1つずつなのだ。
【技②】気づいても対応しない

繊細さんは、そうでない人より多くの物事に気づくので、それら全部に対応していては時間も体力もとてもとても足りない。
そこで重要なのが「気づいても対応しない」という考え方だ。
具体的には、「気づく」と「対応する」を分けて考えていく。
繊細さんの場合は自然にいろいろ「気づく」ので、これを「気づかないようにする」のは不可能である。
ピストルが鳴ったと同時に走り出す陸上選手のように、気づいたらすぐに対応する自動応答システムをいったん切ることを意識してみるのだ。
考え方はこの2つ
- いま自分が対応する余裕があるのか
- 対応しなくても、致命傷にならないかどうか
そうしていくうちに、「この状況で対応しなかった場合、こんな結果になるのね」「次はここまで自分で対応したら、あとは人に任せれば大丈夫そうかな」と対応する程度のバランス感覚が養われていく。
自分にも負荷がかかりすぎないし、他人にも負担がかかりすぎない良い塩梅の「対応しない」を見つけていけると思う。
【技③】不機嫌な人は放っておく

職場に不機嫌な人がいると、同じ空間を共有しているだけでその人を意識して気疲れしてしまう。
そんな人のことは放っておくのが1番いい。
考え方はこの3ステップ
- 「この人機嫌悪いんだな!」と思う
- できるだけ物理的な距離をとる
- 相手ではなく自分をケアする
繊細さんは周囲の人達の感情の変化に気がつきやすいからこそ、「あの人に仕事を頼みたいけど機嫌が悪そうだから自分がやっておこう」と自分を犠牲にしたり、「表情や口調が柔らかくなったからもう機嫌なおったのかな?」といつまでも気にして神経をすり減らしてしまう。
不機嫌な人の感情にふりまわされてモヤモヤしてると感じたら、トイレへ行くなりその人が視界に入らないところへいったん避難しよう。
私の体感的に、仕事を嫌いな人ほど忙しくなると依存的になりイライラしている人が多い印象だ。
まったくもっていい迷惑である。
私は
「イライラを抱えながら働き続けることしかできないかわいそうな人」
「そんなに仕事が嫌いならやめてしまえばいいのに」
「てめぇの機嫌ぐらいてめぇでとりやがれ!」
「さ、そんな人はほっといて自分の仕事に集中しよう」
と、相手にあわれみの感情をもつことでモヤモヤをコントロールすることが最近は多い。
結局のところ、Aさんの感情をコントロールできるのはAさんだけ。
他人の感情なんて気にしたところで私にはどうしょうもできないのだ。
【技④】「苦手」を克服するより「得意」を活かす

「苦手を克服する努力」と「得意を活かす努力」の区別がつかずに全部に全力投球する働き方はおすすめしない。
苦手は人に任せて得意に注力すべきである。
理由は3つ
- 得意で戦うほうが成果が出やすい
- 成果が出るとまわりの人から感謝され尊敬される
- 達成感に満たされて気持ちよくなれる
たとえばラーメン屋でうどんを注文するお客さんがいたら、そのお客さんにはうどん屋に行ってもらって、店主である自分はおいしいラーメンを作ることに専念すべきである。
ラーメン屋がどうがんばったところで、客が期待するようなダシが効いたやさしいツユやもっちりツルツルしこしこの腰のあるうどんは提供できない。
ラーメンを食べに来たお客さんにおいしいラーメンを提供するのがラーメン屋のつとめである。
苦手な分野で高得点を取ろうとする努力ほどつらいものはないし、そもそも高得点をとらなくていい。
自分の苦手と得意については改めて掘り下げて考えてみる必要があるが、この考え方がありなんだと知っているだけでも心がラクになると思う。
【技⑤】全部すてて逃げる

もう無理だと思ったら全部すてて逃げましょう。それでいい。
とはいえこれはかなり勇気のいる行動だと思う。
「もし自分が抜けたら、残りの業務の補填で迷惑をかけてしまう」とか「自分が耐えればすべて事は丸くおさまるんだからやりきらなければ」とか「ここで迷惑をかければ未来永劫、ずっと白い目で見られ続けてしまう…」とか考えてしまう気持ち、よくわかる。
でもやっぱり自分の心身に勝る最優先事項なんてないと思っていい。
自分の話になってしまうが、私自身も部署異動でかなりストレスを軽減することができた。
看護大学を卒業し、社会人1年目の看護師1年生で配属された部署は脳神経外科病棟の重症部屋だった。
社会人としても看護師としても何もわからないまま、手術直後や急患で運ばれてくるいわゆる重症の患者さんばかりを毎日毎日複数人担当していた。
ミスが許されない緊張感のなか、突発する多重課題に素早く対応することが求められる毎日で、朝の7時30から夜の9時まで必死に働き続けた。
もう本当に無理だった。
いま振り返ってみても、1年目は地獄の日々だったし、よく生きて耐え抜いたと思っている。
結果的に12月に体調を崩してしばらく休養することになるのだが。
その後も5年間はおなじ部署で働いたが、異動希望がかなって現在の救命センターに配属となった。
いまも仕事は大変だけど、受け持つ患者さんの数が病棟と比べて少ないのでなんとかやっていけている。もう一般病棟でたくさんの患者さんを担当するのはこりごりだ。
もし1年目のあの時、全部捨てて逃げていいという考えに出会えていたなら、体調を壊す前に避難できていたかもしれないし、もう少し心に余裕を持てていたかもしれない。
心身を壊してまでやるべき仕事などないのだ。
まとめ

繊細さんが仕事をしんどい・つらいと感じてしまう理由5つと、その対策5つを紹介してきた。
仕事でしんどくなる5つの理由は
ありのままでのびのび働くための5つの方法はこちら
わたしは救命センターで看護師として働いているが、まさに「情報量が多すぎる」「命の責任を預かる」「突然多重課題がやってくる」というしんどくなる要素がてんこ盛りの職場だ。
しかしそんななかでも、「1つひとつやっていこう」は焦る心をおちつけて、目の前の課題に向き合うための自分のコンディションを整えるのにひと役買ってくれている。
ただし本当につらいとか働き方が合わないと感じたときは、しばらく休職するとか部署異動をお願いしてみるとか転職するとか、その場から逃げるを実践しよう。
最後に、この記事の内容はHSP専門カウンセラーで自身もHSPである武田友紀さんの著書を参考にさせていただいた。

繊細さんがありのままの自分で元気に生きていくための具体的なノウハウが詰まった実用書。「繊細さんが元気に生きる技術」を身に着けてありのままの自分でラクに生きよう。

武田友紀さんが繊細な感性と一緒に生きる様子を描いたエッセイ。ちょっと疲れたときに、ほっとくつろげる話をききたい人におすすめ。著者の感性の深さやそれを言葉に当てはめる表現力の高さ、圧倒的語彙力にうならされる。感情・感覚のラベリングがうますぎる。ラベリングおばけ。
こういう書籍の力もかりながら、「ありのままの自分でのびのびと生きていけばいいんだ」と思ってくれる繊細さんが増えたらいいな〜と思う。